おしゃまなおばあさま

知人のおばあさんの言語感覚は少し変わっている。少しというより大分変わっている。例えば、物を噛むときの音は「あにあに」だし、こすったり引っかいたりするときは「ゲエゲエ(ゲイゲイ)」、奇声を発するときは「いう゛ぇー」あるいは「いえーへっへっへ」だという。そのため彼は、幼い頃から「ご飯はよくあにあにして食べなさい!」とか「そんなとこゲエゲエしないの!」と叱られてきた。
また彼女は農作業がしたくないために「私はノイローゼだ」「今日は血圧が高いから体調が悪い」「今日は腰が…」と言い張る、とってもチャーミングな人物である。ちなみにこの口実はローテーション制で用いられる。ある日真夜中に腹痛を訴え救急車で運ばれたものの、搬送先の病院で「あなたのお腹は痛くなりようがありません。どこか神経がおかしいのではありませんか」と診断されたこともある。ようやく農作業をサボる口実ができたのに、彼女が憤慨したのは本当に不思議な話だ。